最初は宇宙人目線から物語が始まるのね。指だけが写って姿はわからない。見せないカメラワークだわ。ある家の倉庫に逃げ込んでいたところ、子どもが感づいてボールを投げたら返してくる。徹底的に見せないけどいるっていう見せ方はちょっとグレムリン(普通の映画判定)にあったようなホラーや謎を提示する要素が入っていてまずまず面白い。
チョコをばらまいていたら、チョコを返しに来たのよ宇宙人が。これがちょっと意外なポイントね。てっきり食べたと思ったんだけど。ハンターみたいなのが宇宙人を探しているけどここでも顔をうつさない、恐ろしさが際立つカメラワークだわ。
最初に子どもが宇宙人と会話を交わすシーンは背景が明るくて二人はほぼシルエット、周囲もぼやけているのよね。そして会話が通じないところから始まる、意図のあるカメラワークだわ。やがて存在が兄弟にバレてみんなで過ごすようになる。
私、映画のBGMとかそんなに意識しないから評価にも入れてないんだけど、スピルバーグだからかしら、特にこの映画はBGMを多用するわね。枯れた花が蘇るシーンだとか、不思議要素を盛り上げるように、また、宇宙人の足音のリズムに合わせて、などBGMが効果的に使われているのが分かるわ。テンポもまあそこそこいい。
この映画は「不思議」のパターンがたくさんあって、それを見せるためのカメラワークも豊富。特に宇宙人にテレキネシス能力があることが発覚する際には、宇宙人の手元を手前に映しながら何が起こるのか見守る妹が映っていて、その直後に球体が惑星のような起動で部屋の中を回ったのよね。「注目を集めて盛り上げる」この繰り返しがこの映画の緩急を作っているんだわ。
また、それにとどまらずカエルの解剖をするからとクロロホルムを次々にカエルの瓶に入れていく先生のカメラワークもなかなか印象に残ったわ。教室を遠くから映すのではなく、カメラが手前から先生を映して一緒に後退りしていく。リズムよくカエルの瓶が現れるのね。こういう視覚・聴覚のリズムの使い方が優れているようだ。
いよいよ宇宙人が言葉を覚えてE.T.と名乗るようになるんだけど、仲間に置いてかれたからホームに電話したいわけなのよ。その過程で宇宙服に追われてあげく死んでしまう。今までのファンタジーから打って変わってこの死が現実感を持っていて、処置室みたいなところで手術着を着た大人に囲まれて手当の甲斐なく死ぬという衝撃的な展開。死が物語を引き締めるとはこの事を言うのよ。窓際のトットちゃんみてるー?(ダメな映画判定)
じつはE.T.はホームに通信ができていたらしく蘇生、ここからは怒涛のファンタジーでパワーのある展開。E.T.を返すべくドタバタで山に向かう。今まで登場した人物が全員登場して追いかけてきて自転車は5台も飛ぶ。このときに思ったのが、スピルバーグはワクワクする世界の描き方が本当にうまいなと思った。それは飛んでいる自転車が着陸する子どもたちの表情を映したカメラワークなのよね。はじめてのことでおっかなびっくり、それが飛んだ自転車に対しての真っ当な反応、これを素直に描いているのよね。E.T.は無事に宇宙に帰って終了よ。
スピルバーグの映画って子供っぽすぎたり「ジュラシック・パーク(普通の映画判定)」みたいながっかり映画もあるから「ターミナル(良作判定)」くらいしか評価してなかったんだけど、技術がわかりやすく出ていてこの映画は「お手本」だなと感じた。理論に沿って娯楽要素が刺激されているという印象が強くて、あまりにも有名な映画だから特別斬新な要素があるとは感じなかったわ。ただ、それを踏まえてもこの演出は良作(★★★☆)相当だわ。なんでこんな気持ち悪い顔の宇宙人が世界中で親しまれてんのかしら(ド直球)と思ったけど、この技術なら納得だわ。ごきげんよう~
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