ステキな4コマ

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「クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ」読書レポ

私は滅多に本読まないのよ。しかも小説は尚更読まない。でも今回読むのは「クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ」よ。全5巻のうち1巻読んだわ。映画レビューと同じく、ストーリーそのものよりはどう作られてるか側の話が多くなるわ

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ (ハヤカワ文庫JA)

今回なぜこれを読むかというと、大好きなゲーム・女神転生シリーズの「DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー」の原案小説だからなのよね。ゲームも2のクリア目前まで行って止まっててPS2がもうまともに動作しないのよ。なのでこっち読んでストーリー追おうと。原案だから大筋が同じだけど細部が違う。

読み始めてみると、内容もわかりやすくて飽きないわ。セリフも地の文も専門用語が出てこなければ1〜2行で済むシンプルさこの前読んでみて挫折した井上ひさしとはえらい違いだわ。あと、ゲームの前提知識があるから読みやすいのもあるわね。

主人公たちは荒廃した地でトライブといわれる組織を組んで戦っているのよね。「最後まで勝ち残ったトライブだけが楽園へ行ける」とカルマ教会から言われてるのよ。ある日いつものように戦ってたら変な光が炸裂して自分達が異形の姿に、そして喰らうことでしか生きられなくなると知っていくのよね。生きることと喰らうことのジレンマも優れていて、あとそもそもカルマ教会とか、皆を救いにやってきたという黒髪の少女だとかの大きな謎が話の中にあるのよ。

バトルシーンは表現こそ脳漿が吹き出したりなどするものの、それほど生々しくなくサラッと読める。例えば昔読んだパラサイト・イヴなんかで手術のシーンがあった時は血圧が下がって自分の内臓がちゃんとあるかをいちいちお腹触って確認してたくらい生々しかったけど、そういうのを引き起こさせないのよね。ほっとしたわ(血圧的な意味で)。ちなみに、攻撃には風とか火とかの属性があるのでごちゃごちゃ戦闘してても誰の攻撃かわかりやすいのもポイント。

あと、歓喜することをそのまま「歓喜する」と表現するタイプなのねこの小説。歓喜という行為にも部品となる経験があるはずだけど、そこまでは噛み砕いていかない。特にこの世界で重要な行為「喰らう」ことは問答無用で歓喜なのね。戦いで生きるか死ぬかをやっている世界観と噛み合ってるように感じるわ。感情表現系もシンプルなので読みやすいし、元のストーリーが重厚だから感情表現とかにそんなにリソースを割かなくてもいいのよこの本は。それでもこんな世界での命のやり取り見てたら主人公サーフに感情移入させてくるというクオリティも持っている。

カメラワーク(視点)については掴みきれないわね。もっと小説を読んだら視点のノウハウが溜まってくるかしら。テンポは良いと感じるわ。読んだ感じだと、大事なこと、話してること、重要なことは基本的にカメラの中で行われているわね今んとこ。だからこそ少数の例外が輝くのよね。奇襲とか。あと登場人物が多い割には混乱しないのもすごいわ。

今1冊目でジナーナが命を取り留めた後、重要そうな話になってきてる。ジナーナもこの世界の中で他者のために生きるというヒーロー感あふれる人物で好きになっちゃうわね。そしてゲームでもあった悲劇的な展開で尚更心に残るのよね。読んでるうちに読書の秋みたいになってきたし、ちょうどいいわ。ガンガン読むわよ。ごきげんよう〜