サンドウィッチマン伊達ちゃんのおすすめ映画。天涯孤独の身で自害しようとしても生き残ってしまう青年に4人の幽霊が取り付いて死ぬに死ねない状態になってしまう。そこで、4人それぞれの願い事を叶えてあげることで追い払おうとするのよね。
この映画はラスト30分から別物のようにテンポアップして輝くのよ。それまでの進行はゆるやかで掴み所がない。正直、普通の映画かなと思ってみていたがすっかりやられたわ。映画の前半からうっすら「死」の影がぼんやり漂う中、カメラを取り戻すとか、映画に連れて行くとか、車を手に入れるとかあれこれやっていたのよね。これも終盤に回収される伏線だったわ。
話の中盤くらいから、病院に素敵な看護師さんがいて、主人公は彼女が気になる雰囲気。なんやかんや車の運転をしてくれたり身元を引き受けてくれたりと世話を焼いてくれる。余命僅かな彼女の父は結婚してほしいと願っているようだ。やがて彼女父も幽霊となり、主人公を通じてメッセージを残す。これで主人公が幽霊が見える能力がある程度伝わり始める。
やがて関係が進展して、幽霊ゆずりの仕込みでお弁当を作って彼女と食べていると、のりまきにセリを入れるのは母親譲りで合ったことを思い出す。自分に取り付いた幽霊は、交通事故で亡くなった4人の家族(祖父、父、母、兄)だったのだ。主人公は事故の大きなショックで一時的な記憶喪失になっていた。それぞれの幽霊の願いはドライブしていた車だったり持ち物のカメラだったりと、すべて関係があったのね。ほんとうに最序盤から4人が主人公の命を救おうと奮闘していた様子が見えて涙が出るわ。そのあとは彼女と結婚し、息子も生まれ、写真に幽霊たちが映り込む。息子にも霊が見える体質が遺伝して終了よ。
ロマンスになるかなー、人情が垣間見えるかなーというところで寸止めのようになかなか進まない。ところが終盤になってこれらが決壊したかのように物事が進み始めるのが圧巻だわ。こういう系の映画を見慣れていないのもあって、まさかの展開に心を打たれた私は鼻水まみれとなる。
これはラスト30分がすごく良かったわ。もう一度最初から見てみようかなと思わせる。前半はなんということもなかったはずなのに、意味を持っているとなると唐突に気になるのはどんな絶妙な技術かしら。カメラワークも普通だったはずなのに。それでも感動的に仕立て上げられるのは逆に違和感がないほど自然なカメラワークのおかげだったのかも。こんな映画が自分も見られるのかという新しい扉を開いた気がする。そんな意味もあり傑作だわ。ごきげんよう~
