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イギリスのキラキラどころではない。書評その23「コミック版世界の伝記 アガサ・クリスティー」

宮城県では、芥川賞を仙台の書店員さんが受賞したという明るいニュースでもちきりである。これに勝手に後押しされた私は「小説を書いてみようかな、うふふ」などと調子のよいことを考えていた。そこでこの伝記。イギリスのキラキラを感じながら、小説を書いて暮らすのは良いわね〜と感じるため(雑)に調達。まず表紙から、アガサが女性であるとは知らなかったのだが、絶対名探偵コナンのせいでみんな同じことを考えているに違いない。ちなみに、私が読んだことのあるアガサの作品は「そして誰もいなくなった」。

「あこがれの小説家のお仕事」的な魅力がこの本にはある。アガサが日常生活から小説のアイデアを得る様子が良かった。今度の小説の登場人物に通行人がイメージぴったりだとかをいろいろ考えていたようだ。私は、バクマンみたいな、人がどうやって作品制作の構想を練っているのか等を見るのが好きなので、そういう人のツボにも入る本だと思う。

その一方、キラキラどころではなく、アガサが置かれた状況は過酷で、この時代背景がとても勉強になった。第一次世界大戦で愛する人が戦地に赴いたり、自分が救護を行ったりして薬剤の知識も身に着けたようだ。手に職を確保して、生計を立てつつ薬品の知識を推理小説の毒殺トリックに使用した。アガサは好奇心も旺盛で、当時まだ安全とはいえなかった飛行機(人力)にチャレンジしたり、旅行先で遺跡発掘に加わったりといろいろ精力的に動き回っていた様子。これも創作の糧になったのだなあとしみじみ。

この本、松尾芭蕉の伝記と同じ人が絵を書いているのだが、衣装や建築が欧米的に凝っているのと女性が多く登場したりと華やかなので絵がノリノリである。松尾芭蕉の時はちょんまげか坊主のおじさましかいなかったから書き分けも大変だったろうなあ。さすがプロの仕事である。さてさて、この本を見て創作のモチベーションが上がったが、果たして私はどんな小説が書けるのだろうか?ごきげんよう~