正直邦題のセンスで不安があったが、カメラワークが良さそうで期待大なのよ。余命半年の資産家ダミアンが新しい若い肉体をもらって人生を送る話なのね、プロットも面白そう。偉大な頭脳をそのまま死なせるのは損失だから新しい肉体を与えるみたいな会社があるのよ。そこの連中が移植をしてくれる。
持病の症状で911コールしたら駆けつけた隊員がその会社の職員で、死から転生への流れが鮮やか。透明なMRIみたいな機械の中へ入っていく不安感や息苦しさもよく出てる。
新しい肉体を得るのも20分以内とテンポも良好。新しい肉体の拒絶反応が起きて、幻覚が見えたりするようになる。それを抑えるために提供された薬を飲まなきゃならないのね。この不便な制約も物語を盛り上げているわ。
幻覚に実在の景色が見えたことにダミアンは疑問を持つ。移植会社の連中に聞いてもはぐらかされるどころか、「ラテン系の女性も幻覚ですよ」と、自分が口にしていない特定のワードを口走る。怪しいわね。この怪しさの出し方もこの映画は絶妙で素晴らしいのよ。
幻覚で見たパンプキン型の給水塔のところへ行ったらなんと実在し、その近くの民家に女性が住んでいる。ダミアンを見て自分の夫マークだというのよ。つまりダミアンは中古の肉体をつかまされたわけね。ダミアンは人殺しをしてまで肉体を得る気はなかったから移植会社と完全に決別する。移植会社の連中が後を追ってきて戦いになるが、このマークの肉体は強いのよ。この肉体の背景やスペックも妻との交流を通じて少しずつ明らかになっていく。
この映画はやはり演出が優れていて、マーク妻とダミアン2人でやり取りし、正体を話した時の肝心の反応は車の中で待たせている娘の視点から映すのよね。声はくぐもって身体反応しかわからない。これによって積極的に言葉を発さない娘でもストーリーの中に目撃者として組み込まれ存在感が高まっていく。本当に演出が巧みだわ。娘が機械音をたどって部屋に入るシーンも一枚の絵になるよう撮られていて見事だわ。面づくりもしっかり行なっているのね。
薬を飲むとマークとしての記憶が少しずつ消えていくというから、薬に頼ることもできなくなってくるダミアン。こうなった以上マーク妻と娘が命を狙われるので、匿いながら戦う展開に。
移植会社も同じ人間をもう3回くらい生き返らせたりとかなり危険な香りが出てくる。ダミアンは最終的にトップの男を殺害、最終的に薬をやめることでマークの人格を肉体に取り戻させ、ビデオレターで今までの経緯をマークに説明してダミアンは消滅するというENDなの。終わり方まで素晴らしいわ。
こういう見応えのある映画が見たかったのよ!設定も物語を面白くする制限のあるもので、キャラクターの思想がちゃんと行動に出て、カメラワークで感情を語って、どれも大満足の水準だわ。実はこれストーリー途中で展開がわからなくなった部分があるけど大枠として妻と娘を助けるに沿って動いてるから迷子になることもなかったわ。
これは素晴らしい良作(★★★☆)だわ。映画ってこうあるべきよ。こんな映画にまた出会いたいわね。ごきげんよう〜
