ステキな4コマ

毎日更新。映画感想と日記の日替わり(ネタバレあり)。

安心してお勧めできるスリラー「RUN/ラン」

車椅子で病気を複数持っている娘クロエと母親が暮らしているのよね。ある日買い物から母に処方された緑色のカプセルが買い物袋から出てくる。でも娘が飲んでいる薬にそれと同じものがあるのよね。

RUN/ラン(字幕版)

スマホも与えられてない上にネットも切断している中、あらゆる手段を尽くして薬の正体を探すクロエ。畑作業をしている母親の目を盗みながら電話をかけるのはスリラーらしい迫力があるわ。そして母親も鋭いからスリラーの演出の恐ろしさに一役買ってるのよね。

映画を見にきた際にこっそり抜け出して薬局で話を聞くと、このカプセルは犬の薬だっていうのよ。仮に人間が飲み続けると筋弛緩で足が麻痺するだろうというのよね。ここで母が気づいてクロエを閉じ込めてしまう。クロエは車椅子を降りて脱出、屋根をつたって別の部屋から抜け出る。最後は階段から転げ落ち、車椅子と一緒に倒れるところのカメラアングルは見せ場と区切りとしての役割を果たしていたわ。

今のところ演出が良く見応えがある。ただ、こういう系のスリラーで演出がいいのは必須事項というか当たり前のことよね。真価は、犯人がわかった後の動機の開示にかかっているわ。いよいよそこへ踏み込んでいくわよ。

家から車椅子で逃走していたクロエは母に見つかり地下室に閉じ込められることとなる。そこでクロエの過去の写真や新聞の切り抜きを発見。明らかになったのは、クロエは少なくとも6歳までは自分の足で歩けていた、つまり後天的に車椅子になったことと、病院で新生児の誘拐事件がかつてあったということ。誘拐された子だったのね。

クロエは毒薬を飲んで自殺をはかり病院に運ばれる。ここからがクライマックスね。看護師が席を外した隙にクロエが母に誘拐される演出は見事だったわよ。クロエの心拍データにカメラがフォーカスして値が高まったのちに唐突にゼロになるのよね。

最後は母親が警察に撃たれて階段を転落する。転落の様子は映さずにクロエを映して、母親は階段の下に倒れている一枚絵で表現している。これで絶命したと視聴者に印象付けたわ。

7年後、次のシーンでは杖で歩くクロエが映るのよ。母に最後の反抗をする時にも自分の足で一瞬立ち上がったのよね。そういうプラスの成長を視聴者に印象づけるカタルシス。ところが、死んだと思われていた母は寝たきりで、クロエは母の見舞いに来たのであった。近況を報告した後、クロエは持ち込んだ緑のカプセルを取り出して「お薬の時間よ」と…。これでENDよ。

もうストーリーの面では言うことないわね、犯人が確定した後にさらに動機で驚きがあり、エンディングでのクロエの振る舞いと、視聴者を驚かせることに向き合っている、手堅く作られた映画だわ。これは良作(★★★☆)ね。

傑作に届かない理由は、犯人発覚後の母の狂気ある振る舞いがちょっと物足りなかったこと。たぶんこの監督も目の前の脅威を演出するのは普段のスリラー演出ほど得意ではないと見た。それが揃ってたらこの映画は傑作だわ。とはいえ、これは品質が高いから安心してお勧めできるスリラーということには変わりないわ。ごきげんよう〜