ステキな4コマ

毎日更新。映画感想と日記の日替わり(ネタバレあり)。

マイナスのエネルギーが気持ち良い「Pearl パール」

1作目のX(良作判定)の続編にあたる作品で、殺人夫婦の老婆パールの若い頃を描いたものになっている。主人公が将来の殺人老婆ということで狂気系ね。貧乏な農家に生まれたパールがダンサーに憧れてオーディションを受けに行きたいっていう内容なんだよね。そんな王道プロットが相当不穏になっているのがこの作品の個性。

Pearl パール

この作品の不穏ポイントとして、パールと家族の関係性があるわ。母親が厳しくパールを監視してるのよ。そして父親は病気で体が動かない。そんな父親が中央で、両端に母と娘が向かい合って座る食卓の絶望感が素晴らしい。よく演出されてるわ。前作と同じ監督だから、基本的にカメラワークも良い。

そして次に殺害の描写よね。まず最初は農業用のフォークでガチョウを殺してワニに食わせるところから始まる。いずれこの対象が人へと拡大していくことを予期させるわ。

パールはこの街でオーディションがあることを知るのよね。そして戦争に出かけている旦那ハワードの妹と一緒にこっそりオーディションを受けることになる。映画館で出会った自由人の男と話して、自分の人生を好きに生きるための決意がなんとなく形になってくる。

オーディションにいかせてほしいと言った食卓の中で母と言い争いになるが、父の介護のために奪われた母の人生など、キャラクターが深掘りされて行く。掴み合いになった挙句、母は顔の原型を留めないような火傷を負う。

展開を盛り上げる小道具もある。ハワードの家族が家に来て、豚肉をくれようとしたのよ。ところが母は「施しは受けない」と言って玄関に置きっぱなしになっていた。これが時間の経過とともにどんどん腐っていくのよね。虫がたかっていって。

ここからオーディションの準備に本格的に入る。この家を出て世界に羽ばたく予定のパール。まずパールへの恐怖で距離を置き始めた自由人の男をガチョウと同じ凶器で殺害し、その後両親を殺し、オーディションに向かう。オーディションでは固まった笑顔と珍妙な踊りを披露し、落選する。審査員の中に火傷を負った母が一瞬いて不合格を言い渡す演出の絶望感もさすが。

一緒にオーディション受けた義理の妹に家まで送られるが、施しの豚がさらにひどいことになっている。泣き叫び絶望したパールの話を聞いてあげる。ハワードに話す体であれこれ告白していくうちにどんどんヒートアップしていき、殺害の告白もしてしまう。最終的に義理の妹も殺害する。

「欲しいものをあげるから見逃して」と言われたときに「欲しがるのはやめた。現状に満足するのだ(この家に留まる)」と母の思想に帰結するようになるパール。最後に両親の死体と3人で、虫が湧いた施し豚で豪華な食卓を演出する。やがて夫ハワードが帰ってきて終了よ。

個人的ハイライトはエンディングね。パールの引き攣った笑顔とともにエンディングに入る。スタッフが表示されていくんだけどなかなか画面が切り替わらない。パールの引き攣った笑顔がずっと維持されていて(※ずっと動画)、時間経過とともに音楽も不気味になってきて徐々にブラックアウトしていく。

この作品のポイントは、全体的なマイナスのエネルギーよね。引き返せない方向にどんどん話が進んでいく。オーディションを目指して人を殺してって言うプロット自体はすごくシンプルながら見てしまうのは、カメラワークやキャラクターの思想の作り込みもそうだし、俳優の演技力よね。1作目の老婆も今のパールもマキシーンと同じ役者が演じていると言うのよ。素晴らしいわ。

これは良作(★★★☆)だわね。個人的にこの映画をパールの視点で見ていったから、高ぶった感情も伝わるし、その場でやるべきことをやっていて、見ていてかなり気持ちがいい。狂気系の主人公結構好きなのよ。見応えがあったわ。ごきげんよう〜

↓前作(良作判定)

www.jokerdandyjoker.com

↓次作(良作判定)

www.jokerdandyjoker.com

 

Pearl パール

Pearl パール

  • ミア・ゴス
Amazon