2025年もいよいよ終わりということで、ドジ(つまり私)が今年見た映画の中から、素晴らしい作品を表彰するわ!対象作品は2025年の本記事公開時点までにレビューした作品計183本。賞は6部門+ダメ映画1部門。
まず映画を語る観点は4つで、「カメラワーク」「テンポ」「キャラクター」「パワー」があるのよ。それらを総合的に独断して、さらに偏見も付与して最大★★★★で評価しているわ。星が4つの理由は、必ず良いか悪いか白黒つけるためよ。4つの観点のうち、前述の3要素は理詰めでも作れるけどパワー(無茶や矛盾を押し通す力)だけは別枠で、作ろうと思って作れる監督は稀に感じるわ。たとえば少林サッカー(未レビュー、傑作判定)のようにシンプルな話でもパワーがあれば傑作たり得る。だからストーリーのプロットは単純に評価対象にはできないのよね。受賞映画は目次の通り。
- 語り草賞「コマンドー」
- 狂気賞「オテサーネク」
- 特別賞「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」
- おもしろ賞「教皇選挙」「マッキー」
- 監督賞「TAKESHI'S」「グリーンブック」
- 最高金賞「グラン・トリノ」
- ゴールデンドジベリー賞「テスラ エジソンが恐れた天才」
- まとめ
語り草賞「コマンドー」
これは圧倒的パワーの筋肉映画なんだけど、勢いだけじゃないのよ。質の高いカメラワークとそれに付随するテンポが特徴ね。どうしたらシュワちゃんを使ったら最高に盛り上がるシーンが撮れるかに常に神経をとがらせているのを感じるわ。男が電話ボックスを持ち上げるだとか、娘を誘拐されて敵地に単独で乗り込み暴れるという無茶を実現する、そんなトンデモ場面を複数用意してそれぞれ個性を持たせて見せ場に据えるほどのパワー、これが映画のポイントだわ。ネットミームになるだけある、練られた吹き替えセリフもこの作品の味わいをより濃くする。誰にとっても忘れがたい1作となるはずよ。ぜひお正月にポップコーン片手に見てほしいわ。
狂気賞「オテサーネク」
今年は狂気作品自体があまりなかったのよね。狂気映画には2種類あると思ってて、登場人物の振る舞いや執着が狂気のレベルに達した場合(「JOLT」傑作判定が該当)、作品自体の空気感が狂っている場合(本作)に大きく分かれるわね。生理的嫌悪が映画を構成する要素として不可欠と視聴者に判断せしめるという意味ではこの作品も相当なパワーを持っていることになるわ。そして、やはりシモの話が好きな小学生という強烈なキャラクターが執着する様子、汚い食事風景などの強烈なカメラワーク、嘘が積み重なって話が大きくなり「取り返しがつかなくなる」、この不可逆な感じ、これらが作品の特徴だわ。これは食事中に見ないほうがいいわよ。
↓昨年の狂気賞受賞作品
特別賞「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」
この映画は少し荒削りな部分もあるわ。特に前半の期待値を後半はアクションの詰め合わせで振り切ろうとしてて、もう少しテクニックかパワーが欲しかった。しかしこの映画は求められているのよ、この時代に。男くさい世界観(ヒロインの不在)とキャラクター、九龍城という舞台、香港映画らしいアクションシーンと、こういう映画を視聴者は待っていたと言えるわ。大衆ではなく、特定の層に確実に刺さるこの映画を、予算と時間を費やしてよくぞ生み出してくれたというところだわ。「男の映画」が好きなら、まずはこれを見てからでしょう!
おもしろ賞「教皇選挙」「マッキー」
まず教皇選挙。絵面が荘厳にできているけどこれ、「ターミナル(良作判定)」以来の「おじさんが困っているところを見る映画」なのよね。そういう意味で絵面=カメラワークの徹底した美しい設計と、おじさんが困っているという実態の剥離が芸術的で目が離せないわ。テンポもよく、盛り上がって最後の喪失感はなんとも言えないわね。タイトルほど敷居が高くないからこのレビューとセットで是非見てほしいわ。
マッキーは、語り草賞と迷ったんだけど今年一番好きなパワー系映画ね。主人公が殺害されてハエに転生するんだけど、殺害までのスピード感といい、この映画が勢いのあるコメディであることを予期させるわ。転生したハエが窓ガラスのホコリに「KILL YOU」って書くシーンが忘れられないわ。ハエが人間を殺害するなんて展開をどうやって思いつき、どういう神経で映像化したのか。RRRと同じ監督なんだけど個人的にはこっちのほうが好きだわ。絶対に見るべきよ。
監督賞「TAKESHI'S」「グリーンブック」
この映画は、黙っててももう今後2度と出てこない映画なのよ。特有の暴力表現とカメラワーク、そしてナンセンスが化学反応を起こして忘れがたい作品にしているんだわ。冴えない男が同じようなことを繰り返しては暴力で片付けるというのが白昼夢感につながっている。レビューでも言及したけどたけしがラーメンを食べるのをカウンターの向こうから映したしょぼくれ感満載のカメラワークに技術の妙を感じる。でも、ただしょぼくれただけの作品ではないのだ。
一方、グリーンブックは対照的に、理詰めで作れる映画の最高峰と言えるわね。キャラクターの作り込みとカメラワークがあって、ここまでできるの?と思わせてくれた。まず、黒人が差別を受けているという見るのが辛いような内容を最後まで見せてしまう。これはかなり不思議な作品だったわ。シャーリーの神秘性とヴァレロンガの暴力性、差別を前に耐えるのか暴れるのか、このテーマでなぜ夢中になるのか?
最高金賞「グラン・トリノ」
私を泣かせた唯一の映画よ。妻の葬式にへそ出しルックで来たクソ孫を見てブチ切れそうなじじいの顔を映したカメラワークを見るだけで、この映画が優れていると判断するには十分だわ。テンポももちろん、絵面もビンテージな色合いにされていて世界観が盛り上げられている。何より、いがみ合っていた隣の家の息子と信頼関係を構築し、そのためにじじいが命をなげうって死ぬという展開、人に話して聞かせるだけでも涙が出そうだわ。優れた映画は数あれど、私を泣かせるところまで持っていったのはこの映画が唯一よ。
ゴールデンドジベリー賞「テスラ エジソンが恐れた天才」
今年は数々の優れた作品が出る一方で、クソ映画(ド直球)が豊富な年でもあったわ。こいつはレビュータイトルにも初めて「糞」を冠させたけしからん作品よ。なので今年から専用の枠を設けたわよ。
「愚かなカメラワーク」という言葉はこのレビューが初出という、とことん良いところがない映画。ただ喋ってる人を映しているだけ=愚かなカメラワークということで、ドラマか何かを作ってるつもりだったのかもしれんがすべてのレベルが映画に到達していなかったために何がやりたいのかわからんという悲惨な状態に。おまけに史実ではない展開を唐突に盛り込むという狂った行為をしていて監督はインフルエンザにでもかかっていたのかと思うわほんとに。しかもエジソン恐れるどころか惨敗だから真実が1つもないのよ。絶対に見るべきではないわね。
まとめ
そんなわけで、今年もたくさんの映画との出会いがあったわね。映画を見る目が無駄に肥えてきて、映画のダメなポイントを発見する精度が上がってきてしまったわ。結果としてダメな映画評価(★☆☆☆)とかも結構出てくるようになった気がする。まあダメ映画はダメ映画で評価のしがいがあるからそれもまた味わいよね。そろそろ往年の名作も見尽くしてきたから、来年はますます新しい作品の発掘が求められるわ。もしAmazon Primeを見尽くしたらNetflixを1ヶ月だけ契約してみるとかあれこれ試してみる予定よ。ごきげんよう~
↓前回のドジデミー賞