ステキな4コマ

毎日更新。映画感想と日記の日替わり(ネタバレあり)。

視聴者を蹂躙する怪作「オテサーネク」

同じアパートの中での話なのよね。螺旋の内階段が音を反響させ、近隣住民に聞き耳をたてさせる。不妊に苦しむ夫婦←シモの話が好きな女子小学生←スケベじじいという構図で何かを狙い合っている。全員相当な曲者なんだけど、それぞれ追いかけられていたり何らかの弱みを握られているという構図に緊張感があるわ。

オテサーネク (字幕版)

カメラワークは良くて、不穏さがよく出ている。人の口が画面いっぱいに映るくらいのズームアップとか、鍋はほとんど上から映してかつ出てくる料理の殆どがベチャベチャのスープ系で嫌な音を立てるとか、表現したいものがはっきりしている。生理的に不快な要素もあるけど、これほどエッジが効いていては文句のつけようもない。

不妊に苦しむ夫婦が変わった形の切り株を子どもとして育て始めるという話。妻が周囲に妊娠したと言いふらしたりとか子どもを持つことへの執着が狂気じみている。献身的に切り株の世話をしていたら木が動き出したのよコマ撮りで。わりとコマが細かく生き生き動いてるのが不気味だわ。旦那はこんな化け物処分しろって思ってるわ(至極当然)。ところが、妻が人前でもうすぐ出産するとか騒ぎ出したせいで自分も演技につきあわされ、切り株にオチークと名付ける羽目になる。

旦那が出産の知らせを受けた電話の電話線が繋がっていないことを見抜いたシモ小学生は今まで以上に夫婦を監視するようになる。もともと兄弟が欲しいから妊婦に執着していたのよ。夫婦は赤ん坊の存在を隠していたが食欲が徐々にエスカレート、とうとう人を食べだして行方不明者が出るようになってしまう。シモ小学生は有名な童話「オテサーネク」を音読するんだけと、この赤ん坊の話そっくりなのよ。ただ、物語アニメの登場人物の動きがやたら速くて不気味だわ。

夫婦はいったんオチークをアパートの地下に隔離する。それに気づいたシモ小学生がエサを与えるようになってしまうのよね。やがてスケベじじいと夫婦が生贄にされる。管理人が気づいてシモ小学生を問い詰めてオテサーネクの物語が明らかになる。シモ小学生の静止を振り切り、管理人がクワを手にオテサーネクを殺しに地下へ降りるところで物語は終わっているわ。

カメラワークも世界観も今まで話してきた通り優れているわ。特に場面転換で必ずテレビCMをはさむんだけど、コマ撮りで勝手に動くアイロンが不気味で素晴らしい。登場人物のほとんども正常ではなく何かに執着しているし、特にAmazonプライムではメインビジュアルにもなっているシモ小学生は一度見たら忘れられない存在感よね。目玉焼きを舐めるという行為でこの作品の不穏さを予期させるわ。これは良作(★★★☆)かつ怪作だわ。今年見た映画で怪作は「マッキー(傑作・怪作判定)」以来ということで、価値ある発掘だったわ。ごきげんよう〜

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オテサーネク (字幕版)

オテサーネク (字幕版)

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