あらゆる人の夢の中にポールという冴えない大学教授が出てくる。ところがある日を境にポールが夢の中で悪事を働くようになり現実生活にも支障が出てくる…題材からして面白そうね。
娘が夢の話をする。ポールが登場したというのよ。序盤のこの話の時点でカメラワークもテンポも良いことが分かる。ここからしばらくポールの通常運転を見せられるんだけど、しょぼくれ感がとても良く出ている。かなりリアリティに寄っている感じだわ。場面を最後まで描ききらず途中できる演出がよく出るんだけど、切られた先の場面は冴えないだろうなと予期させる。こんなおじさん現実にいそうという感じがとてもよくあらわれているわ。
やがて、自分があらゆる人の夢に登場していることがわかり、Facebookに山ほどメッセージが来る。TVに出て人気者になる。でも奥さんの夢には登場しないのよ。オーバーサイズのスーツを着て助けに来てくれたらいいのにって話してたわ。これはちゃんと伏線になっている。これ題材としては、夢というより「自分の存在がバズったら人はどうなるか」ということを表しているのね。
ただ、知名度が急激に高まったことの副作用も出始める。家に変な侵入者が出たりもした。ポールは本を出したいから広告会社と噛み合わない交渉をしている。こうなったときの人のリアルな調子の乗り方、下心とかがよくあらわれている。
この中で広告屋のスタッフが夢の中でポールと性的関係を持ったという話があったが、このくだりは今後に影響とかを及ぼしてないからまるまるいらないシーンだったわ。なんだったんだ一体。
ところがある日、ポールに拷問されたとか強姦された、命を狙われたという悪夢を見る人が増え始める。なもんだからポールは悪者扱いされるのよね。 妻には「謝罪して騒ぎを収めたらどうか」って言われて腹を立てる。ところがポールも自分自身に命を狙われる悪夢を見て謝罪声明を出すんだけど、「自分が一番可哀想です」っていう内容だったから家を追い出されたのよ。
しばらくしてポールは人の夢に現れなくなり、その原理が解明されて夢は広告スペースとして活用されたわ。ポールはドリーム・シナリオと言う本を出版し、フランスで翻訳書が出た記念のサイン会を行う。出版したいという夢は叶ったけど、サイン会場といい出版社の手配には不穏なものがある。そして妻とは別居を続けている。人の夢の中に入る方法を実践し、妻の夢の中でオーバーサイズのスーツを着て活躍したわ。「これが現実ならよかった」と発言して終了よ。
あまり見終わっていい気分になるタイプの映画ではないけど、話や演出がしっかり構築されているから楽しめたわ。伏線も残しておいてキレイに回収している、これは出来の良い映画だわ間違いなく。主要人物が思っていることはとにかくセリフにあらわされていて周囲の人間は省略されてというメリハリも効いている。これは良作(★★★☆)だわね。ごきげんよう~
