フランスの映画ね。「デダリュス」という大ヒットシリーズの3作目が発売を控えている。そこに9ヶ国から翻訳家が集められたわ。
流出を恐れた出版社社長は翻訳家を地下に隔離して20ページずつ作業させたのよ。翻訳家たちはそれぞれ作品に対する考察だとか持論を持っている。すごくそのやりとりにリアリティを感じたわ。ところがこの辺りから、刑務所の面会で誰かを問い詰める社長と翻訳のシーン往復となる。事件は起きたわけね。
あれだけガチガチに管理してたのに作品の一部が流出、脅迫メールが社長のもとに届いたわ。そこから翻訳家同士が疑いあったりする。更なる脅迫があり、社長は翻訳家の居住スペースの電源を切ったりしちゃうのよ。そんな中場面転換があり、じつは刑務所に入っている囚人は社長のほうであることが発覚する。
決して顔を明かさない原作者から社長へ連絡が入る。もう一緒に仕事しないという要件だった。その理由として翻訳家への扱いの酷さなどをあげていたわ。ここで刑務所に場面転換。翻訳家の1人が面会に来ていたんだけど、社長の退勤時にトランクをすり替えコピーし、再度すり替え直したことをほのめかすのよ。
また場面転換して、翻訳家の1人が自殺。もう本編もすべて流出し、いよいよ追い詰められた社長も発狂して利益率の低い国から翻訳家を1人ずつ殺害していくという。結果として怪我人を数人出して、なるほどこれで刑務所に行ったわけねと納得。
ラスト10分はさらに怒涛の展開。実は面会に来た翻訳家こそがデダリュスの作者であったわけよ。だからスカウト時にデダリュスの3部のはじめを言い当てたわけね。だからケースのすり替えも必要なく、1人でやったのよ。今まで社長とコンタクトを取っていたニセの原作者はすでに殺害されており、彼の敵討ちと過剰な利益追求をする出版社への復讐として終了よ。
カメラワークの意図がよくわからないほど自然で、大人しく見てしまう。何で見てしまうのかわからないけど見てしまうのよ。とても心地よく画面が設計されているように感じるわ。会話ばかりの絵面なのに退屈しない。登場する翻訳家が9人もいるが、それぞれ考え方やキャラクターが徐々に際立ってくるので覚えられなくてもそれほど問題がないのも好ポイント。
前回レビューしたコマンドー(傑作判定)とは対極にある作品と言えるわ。無茶やパワーは一切なく、とにかく練られたストーリーで魅せる作品ね。人物描写は薄味なんだけどリアリティがさざ波のように押し寄せる。もう少し抑揚があってもいい気がするけど、これは傑作(★★★★)だわ!前評判なしで発掘した傑作はグラン・トリノ以来で嬉しいわ。最初は邦題がイマイチだからてっきり面白くないかと思っていたけど、見てみないとわからないものね。ごきげんよう〜
↓前評判無しで発掘した傑作
