日常のあらゆるものに悪態をつく頑固じじいが隣に引っ越してきたうるさい家族をギャングどもから守る運命になるのよね。プロットだけでもかなり期待が高まるわ。
最序盤、クソ孫がヘソ出しルックで妻の葬式に現れてブチ切れそうなじじいの顔を映したカメラワークを見てこの映画は間違いなく良作以上だと確信したわ。
この作品の魅力はじじいの激しいキャラクター。まずグチっぽい体質がよく表されていて「芝生に入るな」とか日常のあらゆることが気になって仕方がなく、犬と静かに暮らしたい様子。そして、大切な車(グラン・トリノ)を盗まれそうになると大至急銃を持ち出して撃退する怒りのパワーも見ていて痛快だ。
映画の色彩はじじいの年齢を反映してか黒の深いビンテージを感じる色。また、「その日の事件の後何があったか」のようなものは全部すっぱりカットする思い切りのいい演出も映画にメリハリを与える。
ギャングを銃で追い払った後に、険悪だった隣の家から感謝されて次々とプレゼントが玄関先に置かれるようになってからじじいの運命が変わり始める。隣の家には若い姉弟がいて、弟のタオはギャングのいとこに脅されてじじいのガレージに盗みに入ったらしい。ちょっと情けない。
盗みの償いとしてじじいのもとに仕事に来たタオの面倒を見て、就職の世話をしていく。そんなうちにじじいの独自の生態系が明らかになりそれを他人へ還元する優しさが見えてくる。タオも徐々に学習して自発的に喋り動く、そしてじじいを気遣うようになっていく。
じじいも隣の家に食事をご馳走に行くなどしていてとても良好な関係になった。じじいが「タオのデートにはグラン・トリノを渡す」とまで言ったのよ。ここが幸せの最高潮。つまり、こんな平和で終わることはないのだろうなとも予期させる。そんな中でタオがギャングにまた嫌がらせをされて、それを察したじじいは大至急報復にむかう。しかしその報復として今度はタオの家が銃乱射され、姉までが陵辱される。
これを受け、じじいと最後に会話した神父の口からは「殺す」が出るというパワーのある展開に。もう大戦争と思いきや、じじいは復讐にかられたタオを閉じ込めて最後の戦いに1人で向かい、撃ち殺されてしまう。武器を持ってるかと思えば丸腰、周囲の家の目撃者がいたことからギャングどもは長期刑になるという。じじいの口調がそのまま反映された遺言書が読み上げられ、「友人」であるタオにグラン・トリノが譲られることとなって終了よ(泣)。
見てても泣いたのに、書いてても泣いちゃうわよーこんな話!序盤からガッチリ心を掴んだカメラワーク、魅力的なキャラクターとストーリー、そしてキャラクターと噛み合ったパワーのある展開と完全無欠だわ。
クリント・イーストウッドが主演かつ監督なのね。すごすぎるわよ。こういう作品が潜んでるから映画はやめられないわね。今のところ教皇選挙と僅差だが今年1番だわ。大至急見てほしい傑作よ!ごきげんよう〜
