電車が乗っ取りにあって身代金を請求される話なのよね。カメラワークもかなりのスピード感と緊張感。 題材も不穏なので、映像からはスタイリッシュ不穏とでも言うような印象を受ける。
平和な管制室の昼休みから話が始まったんだけれども、地下鉄が乗っ取られて1両のみになった。犯人は身代金を要求しているようだが、どうも会話が読めない。雑談したりしている。
交渉役になるのは、ガーバーという普通の管制官の男。話は弾むように展開していって、犯人はガーバーに執着し出すのよね。途中で警察がガーバーに代わらなかったせいで人質が1人殺害されてしまうほど。そして死亡シーンが重くなりすぎない驚愕のテンポの良さもあらわに。
その中で謎のポイントがもう1個明らかになるんだけれども、ガーバーは賄賂をして降格となったと言う話よ。犯人はその賄賂の話を認めろって強く執着するんだよね。なんでここまで執着するんだろうと思ったら、犯人はこの鉄道の従業員であったことが発覚。電車に詳しいから乗っ取りを計画できたわけね。組織のために働いていたのに恩を仇で返されたということでガーバーに親近感を持っている。
犯人のもとへ身代金を運び込む前に、ガーバーは奥さんと最後の会話をする。奥さんはガーバーに牛乳を買って帰ってくるように言う。会話はすごく短いものだが2人の関係性や願いを印象づけるには充分。ガーバーはいよいよ身代金を持って人質のいる車両に乗り込んだ。歓迎されて運転手の席で話をするのだが、ガーバーの目の前のガラスは割れて血液も付着している。すごく恐ろしい場所で話をしているんだと言うことを改めて思い出させるカメラワークだわ。
人質を乗せたまま電車が走るように仕組んで身代金を持って犯人一味は地上へ逃走。ガーバーも後を追い、とうとう拳銃で最後の1人を追い詰める。犯人は最後の願いだと言って、「とどめをさしてくれ」と頼んでくるのよ。ガーバーは最後まで撃つことを躊躇していたが、銃を抜かれそうになり、やむを得ず撃ったところ犯人は「見直したよ」と言い絶命する。ガーバーの手で死ぬことは救いなのだという。
とりあえず事件は解決。まったく役に立たなかった市長が「収賄事件に関しては君を支援する」と本編唯一の活躍をし、最後はガーバーが牛乳を買って家に帰るシーンで終了よ。
これはカメラワークとテンポが冴え渡る、王道に出来が良い映画ね。基本的に話に必要なエッセンスが凝縮されているから、ずっと画面に集中してたわ。これはお手本のような良作ね。ごきげんよう〜
