4人家族の長男マイケルは、厳格な父の仕事に疑問を持っていた。なんかパパが拳銃を持っているのも見ちゃったし、仕事現場にこっそりついてったらやっぱり人殺してたのよね。
【主要人物】
・マイケル(長男)
・マイケル父(トム・ハンクス)
このあと家族を殺害され、父が戻ったら第一発見者のマイケルは暗い食卓に呆然と座ってたわ。逃げながら敵討ちのために2人で奮闘する。
この映画には、奥行きのある細長い建物を印象的に魅せる不思議なテクニックがある。色彩も優れていて、特に「黒」。黒尽くめの服だと襟すら見えない真っ黒になるほど調整されている。死の気配や、先が見えない危険を感じさせるわ。
あと、父が他のマフィアを頼るときにマイケルを待機させていた場所がまた不思議で、全員ギチギチの椅子に座って新聞読んでんのね。異様な世界への待合室のような印象を視聴者に与える。
本編が進むにつれて父子の仲は深まるものの、それはマフィアの世界に片足を突っ込みつつあることも意味する。後半では明るい色彩が増え、物語のトーンは明るくなりつつあった。こういうジレンマは素晴らしいわね。このあたりで私はふと「これで父が亡くなったら言う事無しの展開だわ」と血も涙もない事を考える。
ターゲットを殺害したことで一段落し、親子は海の近くの家で過ごすことに。ところが、死体専門写真家という最悪な肩書きの殺し屋が追ってきて、最後の最後で父が殺されてしまう。最初こいつ撃退したのに。ただ、父の死にもちゃんと意味があって、これでマフィアの世界から息子が決別できるということにもなる。
映像とテンポ、ストーリーの調和が取れていて、静かな作風だが退屈しない、手堅い良作ね。傑作に届かない理由は私ごときに展開を予想されるところよ。
あとやっぱりトム・ハンクスの名演ね(大好き)。同じシリアス系だとインフェルノは人を殺していないシリアスさ、今作は人殺しをするシリアスさが出ている。喋らず静かに居るだけでもまったく違うのよね。爪の先まで神経を使って映画が作られているのを感じるわ。ごきげんよう~