ステキな4コマ

毎日更新。映画感想と日記の日替わり(ネタバレあり)。

前代未聞の怪作「プリディスティネーション」

なんか顔をやけどした人が画面に写ったわ。あと爆弾魔が逃げているらしい。それはさておきバーに場面転換して、バーテンダーに客の男が身の上話をする場面になった。

プリデスティネーション(字幕版)

【主要人物】
・ジョン(客の男)
・バーテンダー

映画の身の上話って、つまんない惨め系なのが多いじゃんか。ところがこの話がなかなか常軌を逸していて、ここからどんどんエンジンがかかってくるわね。男性はかつて少女(ジェーン)であり、孤児院で育ち、子どもを設けたときに両性具有が発覚、子宮を摘出され男性(ジョン)として生きてゆくことに。しかし一人娘を誘拐されてしまう。

過去に戻るチャンスを与えたら、失踪した相手の男に復讐するという。そして唐突にバーテンダーとともに時間を移動することになる。そしたらなんと過去の自分と恋愛して子どもを設けてんのね!そして赤子が生まれ、バーテンダーが誘拐して孤児院の前に置いた!

ほんでジェーンからジョンを引き離し、同僚とする。時空警察みたいなやつね。そのときに、バーテンダーはプリディスティネーションのパラドックス(要するに特別な存在)だと言われる。どこの時空にも関係を持たないんだとか。

このあたりでバーテンダーとジョンさえもなんか似てきたなとか思ってたわ。キャラクターが覚えられないせいかとも思ったが、なんとバーテンダーの腹に、決め手となる帝王切開の手術痕があった。そして爆弾魔も未来の姿であったという。時空移動の副作用である精神病や認知症を発症し、爆弾魔となったようだ。

さらに、冒頭顔にやけどした人が顔を手術してバーテンダーになったんだけど、やけどする前はジョンだったわけね。たしかに性別不詳な感じがあったわ。ということで赤子の成れの果ては、赤子→女性(ジェーン)→男(ジョン)→バーテンダー→爆弾魔。すべて同じ人間だったのだ。爆弾魔が捕まらないわけだわ。この調子で時間を行き来すればジョンは無数に増えていかないか?

やはりストーリーが最も優れているんだけど、前半後半で展開のメリハリも効いているし、真実が発覚していくにつれて心拍を早めるような盛り上がっていく演出も良い。これも文句なしの傑作だわ。ストーリーと演出、キャラクターの奇抜さのバランスに大満足。こんな複雑な話を1時間半によくまとめたなあ。ごきげんよう~