ビートたけしの本が読みたくて、足立区をネタにしたコントでも言及していた本書をセレクト。今回の作品はビートたけしが幼少期を振り返るというもの。
子供らしい動機の面白さ
その行動の動機が「一緒にやらなければいけないような気がするので」という、ふわっとしたものなのが面白い。自宅を支配しているのは親父なので、兄貴が夜遅くに本を読むためにお袋が付き添って外出し、自転車のライトのようなもので手元を照らして本を読ませてやるという場面がある。そこで、「一緒にやらないといけない」と思ったたけしくんは並んで漫画を読んだりしたところ、お袋に「バカヤロー」と殴られたという。
名場面は学校給食のところ
当時は、給食の食器も家庭から持参していた。プラスチックの赤いコップを持たされたたけしくん。赤は女性のような色であることが恥ずかしく、クラスメートからもからかわれるが、先生がかばってくれる。「家族からもらったものを大切に持参している北野はえらいのに、なぜからかうのだ」と言ってもらったことで、情けなくて逆に泣いてしまうたけしくん。そこで慰めるかのように給食が増えるのがお約束だが、食べたくもないまずいおかずが増えてしまった。先生が良かれと思ってしたことがすべて逆に作用しているところがギャグのお手本のようだ。
衝撃の時代背景や雑学
当時は「伝染病の対策としてDDTという農薬がばらまかれて家が雪をかぶったように真っ白になる」という衝撃の話があった。たけしくんの家が貧乏でモノがなかったりとかはあるけど、地域というか衛生環境もガバガバな時代だったのだな。
あとはかまぼこの指輪。ゆびわをかまぼこで形容するとは知らなかった。かまぼこ型とは、断面が半円に近いものをそう呼ぶらしい。↓こういうやつ
ということで本書は、面白い人間の頭の中が分かる本としても楽しいし、幼少期のエッセイという側面でも時代背景など環境が違うので興味深い一冊だった。子供は天気とか日付とか関係なく待てない、こういうことは情けないという子供の行動や価値観が言語化されていておもしろい。
Audibleにもあるようだ。本も中古でも安く手に入るのでぜひ探してみてね(なんと1円!)。DVDもあるようなので、見てみようかな。ごきげんよう~