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作家の卵たちへ送る、ライティングのノウハウではない本。書評その8「中高年からの最短作家修行」水野真里

私の読書メーターより

この本は、書き方のノウハウというよりは、「”作家”の定義が広いので、それに合わせてどう収入を得るかを指導します。書く習慣を付けさせて、書いたらコネをあたって生計を立てられるように立ち回りましょうね」という感じのものである。作家の卵(?)である私は図書館でこの本を知ったが、なんと Amazonで中古で17円(投稿日現在)。流石に17円だったらお買い得かなという感じ(おそらく送料とか乗っちゃうが)。

タイトルの印象以上に、この本のスタートラインはかなり低く設定されているので、大抵の方がこの本のゼロから始めることはないように思う。どんなもんかというと、定年を迎えたが家族との関係も良くないおっさんが「小説でも書いてみようかな」と思ったところに著者が指導する感じである。

この本の楽しいところは2箇所あり、何と言っても「古い」ところと、「作家を名乗ってしまう」という指南である。まず「古い」ことについて。「やおい」という言葉が久々に出てきた。BL好きの母に早速報告し「あったね〜」と懐かしむ。あと、本が古いので著者が想定しているおっさんも先述のとおり古く「今どきこんなのいねーよ!」と思うのが楽しいところ。ちなみに2008年の私はコロコロコミック読んで「う●こー!」とはしゃいでいた(今もだが)。次に「作家を名乗ってしまう」指南について。これは自分を目的に向けて自分を追い込む効果が期待されるのだと思う。が、「定年なんだから名乗ることに何もリスクないだろ、やっとけ」と言う感じもあるかも…と、あれこれ考えて面白い。突っ走れる人が強いのは間違い無いだろう。そこは定年のアドバンテージ。

本に登するノウハウの中で自分に当てはめて考えるものは「興味のあるものを書いてみる」と「考え方を変える」というもの。前者については私の場合、簿記にブチ切れるコンテンツを書いているので、ここはOKとなる。後者は「仕事は大変だが、給与をもらって勉強している」という感じで、この考え方を養ってゆきたい。これは仕事を続けるだけでなく自分の直面している物事を多面的に見る目を養うと言う観点で大切だなと思った。あと漫画のネタを確保するためにも。

本書の特色としては、作品体系を大きく4つに分け(その中に「やおい」という用語があった)、「小説や専門書を書くまでのハードルが高いのでまずはエッセイなどから」という指南もある。著者は「やおい」に進出したものの、大変見る目が肥えた読者の中で著者は評価されなかったとも語っている。「やおい」に限らず専門性の高い分野では、肥えた読者の目を満足させることも必要なのだ。となるとやはりエッセイはハードルが低い。何と言っても材料が自分の中にあるので書きやすい。ライティングのノウハウだと思って読むとがっかりするかもだが、経済的な目安の立て方、作者の場合の出版によるお金の入り方、コネの作り方は「なるほど」と思う。これが2008年の時点であれば画期的だったのではないかな〜と感じる。ごきげんよう〜