ステキな4コマ

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ウンコも交尾もありのままのクマの親子の生き様の本「かってにシロクマ」

Twitterで、相原コージ先生がうつ病を経験をされたと知り、昔読んだ先生の漫画のことを思い出した。『うつマン』の展開も先生の健康も気になる。。。どうかお大事になさってください。

私が思い出したのは、相原コージ先生が描いた「かってにシロクマ」。この本はもともと母がすすめてくれたものだったんよね。久々に読んで、感想を母に共有したら「私とは感動の着眼点が違う、大至急ブログに書け」とのことで、早速実行したんどす。

私は、読書経験は少なくて、漫画もあんまり読まずに育ったが、母が選びぬいた一冊を受け継いでいる。それが「動物生体図鑑 かってにシロクマ」

かってにシロクマ : 1 (アクションコミックス)

かってにシロクマ : 1 (アクションコミックス)

 

kindle unlimitedでも読めるよ!(※記事公開時点の情報)

一言でいうと「ウンコも交尾もありのままのクマの親子の生き様の本」なんだけど、これがまた、一言からは想像つかないような心の残り方をしたのだ。。。長男「シロ」、次男の「大ちゃん」、お母さん、居候の「ウリ坊」が話の中心になっていて、四季がめぐる自然の中での親子の日常が描かれたりしている。

お笑いとシリアスの割合は7:3くらい(当社比)なんだけど、その3のシリアスがガツンとくる重さ。しかし、重い話は好きではないのに何回も読んでしまう。辛いところもあるのに読んでしまわせる魔力がこの本にはある。読んだことある人が家族のほかに周りにいないので「あ~これこれ!」と話題になる仲間がほしいい。。。

図鑑と漫画の中間のような本で、動物の生活や自然がリアル。動物と自然だけでこれほど話が展開して、夢中で読めてしまうものなのかと驚いた。

この本の個人的おもしろポイントを列挙していくと。。。

※目次より先は、登場動物のネタバレ注意。シリアスなところのネタバレはしていないけど
(全6巻だから読みやすいボリュームどす、読むどす) 

なぜか一番心に残ったコマ「げふ」

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母に真っ先に話したのは、この右下のコマの話。一匹だけ冬眠できないウリ坊がひとりシカ肉をたべて「げふ」としているところで「ここの鹿肉が骨が露出していてリアルだな」「なんでもないコマなのに書き込んであって心に残るなあ」と思った。
心に残った理由は、ウリ坊の、それほど悲壮感のない寂しさというか、日常感を感じさせる絶妙なものなんだと思う。一人残される寂しさがよく伝わり、その一方で「冬眠ってどんなもんかな」「シカっておいしいんかな」と色々想像させる可愛いコマ。
かわいい絵だけど不気味でない程度にグロテスクというかリアルなのがとても心に残ったと思う。なんとも見ていると気持ちが落ち着くような魅力がある。なんだこのコマの魔力は。

名前も知らない虫がコマのあちこちに登場する

名前も知らない小さな虫があちこちに出て、それぞれの生き死にが描かれる。普段のコマも基本的ににぎやかで楽しい。ちなみに、この漫画の一番最初のコマに登場するのもいきなりミジンコ。ウンコするとすぐにフンコロガシがやってきたり、死の気配を察知してノミが体からピンピン逃げていったりと。小さな虫に非情というか、そういう運命が襲いかかる。

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このコマはハリハネムシに贅沢なスペースをとっていて関心した。 

おバカが尋常でないおバカぶり

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シロのやウリ坊のおバカぶりが最高。シロは「温泉と自分の屁を比較して臭さで勝ったから喜ぶ」という価値観を持っているところに感心した。おバカとはこういうことなのだ、と!

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恋とは「ぽ~」として「どきどき」して「ふわふわ」とした結果子供が生まれるとお母さんに教わるシロ。この直後に恋を体験し、はっとして必死で腹をおさえる。あるある

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シロが、ヤマネの「ちょしちゃん」に恋をして、あらゆるものをちょしちゃんに見間違えるシロ。普段「ぴゃっぴゃ」しか話さないのに「ちょしちゃん」は言えるというかわいさ。

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病気のちょしちゃんを一晩中看病しつつウンコもする!「おバカだけどいい男」の極致をここに見た。

とてもキャラクターが生き生きしていて「この場面ならこう反応する」という作り込みがよくできているのだと感じた。いろいろなコマで、何度見ても、シロは話を聞いていたりいなかったり他のものを見ていたりと。だからこそ、意外なセリフが出てきたときにびっくりするんだよね。何度も見返した。最後の話は。  

忘れ得ぬ効果音「んざー」

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大人になって見返して一番笑ったコマ。なんちゅーことないところで場面転換したところなんだけど、雨がめちゃ降ってることがわかる。「んざー」クセになるわ!

ぐきゃらきゃらきゃらぐきゃらきゃらきゃるるるるるるきゅるパパラパパラパパ 

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現役の小学生の時に一番笑ったコマ。お母さんに対して反抗的な態度をとるシロだが空腹がだいぶ耐え難い状態である事がよく伝わる。

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 恋は盲目。自然も動物の生活もリアルにかいてあるから「虫がこんな事するわけないじゃん!」の笑いがさらに引き立つのだと感じた。

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植物まで!ちょしちゃんに振られて落ち込むシロに負の光走性的な感じでツタが絡みつく。
このような過剰表現が、普段描かれる自然のリアリティに対応して笑いを引き立てるんだなあと思った。

しかしながら、死と隣り合わせの厳しい環境

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デートをしたらしたで、2匹の愛とともに、ふまれている草の憎しみの気持ちが描かれる。どちらかが立つとどちらかが立たなくて、いずれ食い合ってバランスを取るというような、なんちゅうか世界の本質のようなものをこのコマに垣間見た気がする。草の視点でも虫の視点でも、ものを捉える視点がすごい。この観点をもって、シリアスな展開をつきつけられることになる。ものすごいよ。。

このとき同時進行で岡本太郎の「美しく怒れ」を読んでいたが、岡本太郎が言っていた「ビフテキ側の運命」という言葉はまさにこの本が教えてくれる視点だと思う。「自分が食べられる側に回る想定」というのを思い知らされるのだ。。。

美しく怒れ (角川oneテーマ21)

美しく怒れ (角川oneテーマ21)

  • 作者:岡本 太郎
  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: Kindle版
 

※「かってにシロクマ」読んだら次はこれ読みましょうや

「かってにシロクマ」が好きなら、この漫画も好きかも?と思う。私は好き。今後レビュー書きますぜんぶ

かめ! 1 (モーニングKC)

かめ! 1 (モーニングKC)

 

「かめ!」は、かめを拾った青年の物語で、こどもがするような日常のおバカなこととか、保護者である大学生の、まったく美化されていない生活(空腹に耐えかねて部室のクリープを舐めるなど)が描かれる。お笑いとシリアスの割合は8:2くらいかな?

バケツでごはん(1) (ビッグコミックス)

バケツでごはん(1) (ビッグコミックス)

 

「かってにシロクマ」と同じ動物もので、こちらは人間との交流や文明がかなりある。お笑いとシリアスの割合が5:5くらいな気がする。この漫画で「中途採用」という言葉を初めて知った。「電信柱が高いのもポストが真っ赤なのもみんな中途のせい」という名言は今も心に残っている。

団地ともお(1) (ビッグコミックス)

団地ともお(1) (ビッグコミックス)

  • 作者:小田扉
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: Kindle版
 

 団地ともおはアニメのみ視聴したが「おバカでまったく美化されていなくて微笑ましくもないようなしょーもない日常の世界(私の大好物)」という観点では、これが「かってにシロクマ」の日常パートに近いと思う。一番好きな話は、単身赴任のともお父の話。せっかく実家に帰ってきたのに、自らのデリカシーのない(?)行為で女性陣の顰蹙を買い家庭内で孤立し、ともおを買収して仲をとりもってもらおうとするというもの。

真・異種格闘大戦 : 1 (アクションコミックス)

真・異種格闘大戦 : 1 (アクションコミックス)

 

相原コージ先生の別の漫画で、一言でいうと「たまたま知名度が低いだけのめちゃくちゃ面白い漫画」。「かってにシロクマ」以上の衝撃だった。お笑いとシリアスの割合が1:9くらいなのに、どんどん読み進めてしまって一気に1日くらいで読んでしまった。動物園で動物を見る目がいろいろな意味で変わった。「この動物に出会ったらお腹から食い破られてしまうよ~こわいよ~」というような平和な子供特有の恐怖感を植え付けられた。それでも面白いのだ。成長したシロたちも登場するのだが。。。この物語はものすごいよ。。。別でレビュー書きます。 

 ごきげんよう~